読書会『フード左翼とフード右翼』速水健朗 と 青山ファーマーズマーケット見学
私は最近知人と「コンテンポラリー読書会」というのを始めました。
現代を考えるための読書会という意味で「コンテンポラリー」(意味:同時代、現代)です。
第一回では 樫村愛子『ネオリベラリズムの精神分析』を読み、現代世界の事象を社会学の観点から考えました。
ネオリベラリズムの精神分析―なぜ伝統や文化が求められるのか (光文社新書)
- 作者: 樫村愛子
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/08
- メディア: 新書
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先日行われた第二回は 速水健朗『フード左翼とフード右翼 食で分断される日本人 (朝日新書)』でした。
イベント詳細
[TwiPla] 第二回 コンテンポラリー読書会 速水健朗『フード左翼とフード右翼 食で分断される日本人』 http://twipla.jp/events/76676
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コンテンポラリー読書会 ~フード左翼とフード右翼~ http://t.co/1WVLFOWKfB @wordpressdotcomさんから
— ちゃーりー (@charlie_rebirth) 2014, 1月 22
その模様を報告したいと思います。
青山ファーマーズマーケット見学
渋谷の国連大学前の広場で毎週末開催されている青山ファーマーズマーケットをまず見学し、食事を食べました。
ファーマーズマーケットでは、各地から有機栽培の健康志向農産物が販売されており、また、昔ながらの商店街の八百屋さんでのやり取りのようなものを体験できるようになっていました。「顔の見える生産者と客」というのが重視されているように思います。試食で生の大根やニンジンなどあり、これがまたおいしかった!大根には甘さがあり、いままで辛いものというイメージしかなかったので驚きました。そのほかにリンゴや自然薯、ジャム、様々なものが試食できるようでした。
優先されるのは商売効率よりも客と販売者のコミュニケーションでもあり、それはファーマーズマーケットの理念のひとつのようです。
食事は動物性のものを一切含まない「ビーガン*1」専用色を食べてみました。
- ソイミートのから揚げ(大豆で作ったから揚げ)
- おからの春巻き
- ジャガイモを揚げたもの
- 野菜
中でもソイミートは、大豆とは信じられないほど、肉感がありおいしかったです。このお店では注文を受けてから5分ほどかけて調理(揚げる)という方式をとっていて、その間は会話をできる余裕があり、やはり「顔が見える」ということを感じました。話したところ、この店の店主は普段は千葉で農業生産をしており、渋谷で店を出店し主にビーガン食やマクロビ食の提供をしているとのことでした。予定されている「ベジフェス」というものでは、ビーガン食のブースで出店予定とのこと。生粋のフード左翼っぽかったです。
※チキン料理の絵の隣に「How To Kill Chicken」という文字。罪悪感が・・・
さて、食事も終えて満足してしまったのですが(笑)、肝心の読書会へ・・・・
国連大学近くにあるフリースペースへ行きました。
私の作成したレジュメをもとに、本の論点などについて各自活発に意見交換を致しました。ツイキャスなどもして、視聴していただいた方からも意見などもらっていました。
読書会
読書会の内容は多岐にわたるの細かくはかけないのですが、ポイントだけ。
- フード左翼とは、左翼的政治運動が食の運動へと変質したものである。
その背景には、マルクス主義の運動が日本やアメリカで失敗したことへの自覚がある。極度に理念の先鋭化した左翼が内ゲバ(浅間山荘事件)など悲惨な事態を招き、大衆の支持を失ったことや、消費社会の到来とともに消費という活動を肯定せざるを得なかったことなどについて、北田暁大の著書*2などを引用して論じていた参加者もいました。
- 食の運動とは、消費活動によって政治性を表すということ(市場を否定するのではなく、市場を逆に利用して自分たちの主張をしようということではないか)
市場を否定することが「現実的な左翼」(ピーター・シンガー)ではないということ。進んで市場を「ハッキング」することで大衆の意識を変革するという意識が現代において新しい社会運動の形態なのではないか?
- 科学技術や工業生産・資本主義の肯定と否定は、相容れないのか
フード左翼的な有機栽培や健康志向の食自体も、実際は市場経済や科学技術の発展による流通や生産コストの低下、いろんな食品を選べるようになった変化、によって可能になったのであり、そもそもが現代の産物ではないか?という意見
その他、「近代以前の食を追求するフード左翼だが、そもそも近代以前の食は結構貧しくて選択肢も少なく、あまり良いものではなかったんじゃないのか?」という意見など
全体的には、フード左翼的な考えに対して肯定的、共感する面も多いものも、彼らの意見には矛盾もあるだろうという意見が多く、著者速水健朗さんに近い考えでした。
次回は小熊英二『社会を変えるには』を2月中旬~末にやる予定です。再び社会学的視点を取り入れて考えて行きたいと思います。
告知等はまたしたいと思います。都内でやる予定