もう一つの終わり
Another End
「もういいの?」 「うん、僕はもういいよ」 「そう、良かったわね」
浜辺に横たわる二人、満ちることの無い心。
それはもう一つの終わり、始まり。
世界が崩壊し、すべては溶け合った
それは絶叫と混乱にある赤子のようだった。
補完。 補いあい、完全なる存在になること。
満ちた心になること。
世界の終わりの日、全ての人は一つになった
アダム、リリスから生まれた全ての生命は、再びたった一つの、生命へ。
生命としてひとつになり、永遠に漆黒の空間を漂い続けること
満ちた赤子になること
それこそ「母」の願いだった。
「この地獄のような世界で生きていくのか、この子は。」
父はそう言った。
母は違うことを言った。
「生きていれば幸せになることはできますよ。だって、生きているんですもの」
母はそう微笑んで、消えていった。
結局、父も母に還っていってしまった。
・・・父さん。
母さんは、怖いよ、暴力的だよ、と、そう思う。
その愛は、僕らを傷つけるんじゃないのかって。
だってほら、今、こうやって混ざり合って、悲鳴ばかり聞こえるもの。
これが終わりでいいのだろうか。
しばらくしたら落ち着くのだろうか。