映画鑑賞 「リターン・トゥ・アース」
映画鑑賞
「リターン・トゥ・アース」(2014カナダ 原題"Projet M")
長期の有人探査の準備のため、1000日間地球の軌道上で生活する宇宙飛行士男女の話
木星の衛星エウロパに送った無人探査機が、エウロパに淡水が存在することを発見し、世界的なニュースとなる。
しかしその直後、カナダのモントリオールで大規模な地下鉄爆破テロが起こる。
衛星軌道上には関係のない話だったが、その後いきなり核戦争が勃発し、地球と音信不通になってしまう。
ヨーロッパ各国、ロシアなどの宇宙ステーションも地上との連絡が取れない状態がわかり、1000日間の滞在予定が終わったが、帰れなくなる。
感想
全体的に地味な人間のやり取り、閉鎖空間のドラマをメインに描かれていて、スター・ウォーズなどのSF映画と比べると表現の次元が違っている。テイストとしては「地球最後の人間」という映画が同様のテーマ性を帯びていて、かぶっているのではないかという感じがしたが、この作品は男女のかけひき、地球に残した家族との確執などの生々しいテーマが主眼になっており、独自の面白さがあった。非常に各人物が自分勝手に見えてしまうというところがあって、宇宙飛行士っぽくなかった。そして、救いがなく、非常に各メンバーが鬱や衝動性を発揮し、サイコスリラーの様相を呈してきた。
しかし後半、ソユーズから逃げてきたロシア人宇宙飛行士から、核戦争の原因が明かされる。エウロパで発見されたのは淡水だけでなく、未知の文明の痕跡であったと。それを知り、世界に伝えることができるのは、生き延びた宇宙飛行士だけだったので、頑張って生きて帰るという意志の強さを発揮してこのドラマにも救いが見られた。
結局最後はハッピーなのかバッドなのかわからなくて、後味が悪いのだけど、こういう映画は大人向けですごく良いと思った。SFという舞台で描ける人間像というのはハリウッドなどではパターン化しつつあるし、日本では描けないし、やはりカナダ(フランス語)で描いたからこその作品であったろうと思う。
リターン・トゥ・アース 宇宙に囚われた1027日(字幕版)(予告編)