「無限機関」(メモ。プロット)

1. セカンド・ミレニアム

#セカンド・ミレニアム

50億光年先から来た存在。人類が「インフィニティカ」によって補完されていた最中に、その存在によって、時空の歪みが生じた。従来宇宙を司っていた時間の一方向性が破られ、逆転方向に加速した。それによって時間は過去へ過去へと遡り、ついにはビッグバン以前へと行ってしまった。そこは量子の海とも言える不確定性の世界であり、そこへ放り込まれた全人類は生と死の狭間に落とされた。
人類は生まれ、しかしそのあと唐突に死ぬ。死ぬ時の叫びが宇宙が満たし、常にどこかから叫び声が聞こえた。それを聞いている自分でさえ、生まれまた死ぬのに、それを聞いていた。時間というものはあるようで無くなってしまい、生まれてから死ぬまでの時間はどれほどのものか感じることはできなくなってしまった。しかし、生まれ、死ぬ、そして記憶がただただ存在する。それだけは確かだった。
いや、しかしその記憶も、単に揺らぎのある世界で作られた偽造の記憶かもしれなかったが、だれもそれを確かめることはできない。

インフィニティカ・インゲニウム(無限の機関)という存在も、そもそもは物理法則の異常な変異を示すきっかけのようなものだったかもしれない。人類はそれを世界の真実と思い、それを工学的に利用することができるようになって歓喜していたが、それ自体がそもそも西暦2000年以降、2050年頃に起こった宇宙の変異の証だったのだ。そのような法則が発見される事自体、2050年以前にはあり得なかったのだ。なぜなら物理法則はそこまでは「正常」だったからだ。人類は可能性でしか知らなかった。物理法則が時間に依存する形式であることを。

インフィニティカは、人間を文字通り自由な存在とした。エネルギーの無限性。永久機関。それは物質をも無限に生成・消費できるものに変えた。世界の資源、食料、電気。すべてはエネルギーの一形態なのだから、それらは無限になったのだ。

そして、もう一つ、人間における個人と個人の衝突を無化するための技術。バーチャルリアリティという陳腐なものではなく、リアリティの拡大、リアリティの複数性を実現する仮想化技術だ。

これによって、人間は他人に望むように、自分も他人に望まれるように、意思し、行為することができた。人間同士は決して傷つくことがなく、望むように・望まれるように、それぞれが自由に我儘に生きることが許されたのだ。殺人も、強姦も、強盗も、なにもかもが、それが他者の権利の侵害とは決してなることがなかった。そしてそれは仮想ではなく、「現実」であった。
 現実は、多層化してしまったのだった。
 
 それの真の意味・真の理由・倫理的正しさなどだれも知ることは無い。そんなこととは関係なく、実現し得る最大の人類の希望が実現したのだった。

しかしそれも結局は、物理法則の変形のもたらした異形だったのだ。

いや、今やそれ以上に異形のおぞましい世界となった。生と死が渾然一体となったし、それの理由はだれもわからなかった。

しかし、そうなる前のビジョン、それは見た記憶があった。遥か彼方、50億光年先からの信号を検知した宇宙展望台の観測機。それが受信したシグナルと、地球にいた我々の脳裏に焼き付いたビジョン。


#補足:その存在(神?)が来た後

近未来、無限機関(インフィニチカ)の発明によって無尽蔵のエネルギーを手にいれた人類。
あらゆる個人間の欲望の衝突はなくなり、すべての人間はその欲望するままにすべてを手にいれることができるようになった。
シンギュラリティにより、他人すら思いのままにでき何をやっても利害が衝突しない仮想化システムが完成し、地上はそのまま天国となった。
以降1500年、人間は世界を、自身を謳歌していった。
しかし、シンギュラリティの対称性は突如破られてしまう。
50憶光年先からやってきた不可視の存在、彼は全人類にビジョンとして現れ、時間を逆行させ、反転した時間は宇宙誕生以前の異界へと人々を導く。
そこは、人間が生きてすぐ死にすぐ甦る、生命の因果律の崩壊した時空である。
生まれては死に、蘇り、また死ぬ。


==============

私は再び、2000年へとやってきた。いや、正確には、初めてだ。
私は2013年に産まれたのだ。だから2000年など知らない。
しかし時空の乱気流の中で、いま私は2000年を生きる地球上の人間として、いまここにいる。

そして言葉を記すことができる。
だが、いつまた連れ去られるか、いつ死ぬか、再び混沌に戻るか、それがわからない。それだけが恐怖だ。いや、恐怖などとうにわからなくなった。なにが真実かももはやわからないのだ。これは夢か?そうだ、夢だ。まったく一貫性の無い現実なんて、夢以外の何者でもない。しかも悪夢だ。究極の悪夢。死ぬよりも悲惨な。

手元にある一冊のノート

そこには訳の分からない言葉で、または数式で、様々なものが乱雑に書き記されている。

しかしそこで唯一、私が読めるものがあった。

「50億光年先から来た存在。ここにいる。2000年、8月4日に捕まえろ。奴を止めろ。殺せ。殺せる??

 ベイカー・アンダーソン または ヒラキ・サトナカ 


ここに書いてあること、これは明らかに、何かを知っているものが残したものだ。

そして、いまのこの部屋。この部屋は異様だ。

出口がない。

しかし、誰かがついさっきまでいたような、そのような生活感はあった。
私と同じように、この時間に巻き込まれた人間か??そしてしばらくここにいたのか?


=====
建物を出る
・ごく普通の風景、スラムの一角。
・場所:不明

===
以降、探す。

 

# 多層現実(Multi-Layered Reality)

人間の精神的解離の現象を元に作られた技術。人格を多層化することで、痛みを受ける人格を解離させ、主人格のコアは傷つかない。

人間同士、この多層化人格を搭載しており、お互いの都合のよい部分だけを相互作用させることができる。コミュニケーションは傷つけ合わない最大公約数の部分だけが可能で、お互いの利害衝突、殺傷などの現象は解離した層でのみ生じるためコアは何も影響を受けない。

無限機関のエネルギー、無限物質によって現実の多層化は保持されるため、無限機関が無ければ有効ではない。


# 無限機関は体内に埋め込まれてあり、2000年代に出現した主人公もそれを失わずに体内にもっていた。

そこにあるコンピューターの電源は入っておらずつかない。
しかし無限機関を感知すると電源が無限機関によって補給され、コンピューターが起動した。

=>そこの部屋に以前いた人物によるメッセージと解析データ


・この部屋は原因不明の事象によって存在する閉じた空間である。2000年代のここにしかない。
・おそらく50億光年先から来た「存在」神(仮)によって意図的に作られた時空のバックドア(裏口)である。
・この裏口から2000年の地上へ通じている。
・2000年では無限機関を保持するのは主人公、および飛ばされてきた人間、あとは神(仮)のみである。そのため、多層現実技術はこの時代の人間には通用しない。
・無限機関技術はすでにこの時代の世界の政府機関の一部によって知られてしまっており、無限機関が持つ破壊能力によって国際指名手配、テロリスト的な扱いを受けている。
・探すべき神(仮)は、バックドアからこの時代のどこかへ出ており、活動している。それはおそらく人間の形態をしているが、破壊能力は侮るべきではない。

・無限機関を使用した身体強化、及び特殊武器を使用することができる。しかしそれを作る技術はこの時代では無いため、供給は限定的だ。

バックドアへの出入りの条件・制約



# その部屋はなぜか存在し、そこには何度も無限機関を持った人間が出現する
・彼らは多くの時代で活動している。一部は自害して再びカオスへ帰ることを選んでいる。
・この時代で死ぬともう一度来れる保証は無い。
・この人物(メッセージを残した人物)も行方不明となり死亡した可能性が高い。(どこかへ飛ばされた)


#

2000年代において、かつて愛していたが破局した女に出会う。そこはまだ無限機関の無い世界でお互いは容易に傷ついてしまう。

そこでやり直し、違う可能性を探る。

 

 

##2章

2. 問題

 部屋は永久機関に反応して開かれた、外に出ると、20世紀マンハッタンの町並み
 広く広がる公園と、高いビルそのどちらも懐かしさを感じた。
 すでに消え去った世界が目の前にありありと感じられた。
 これもまた別の輪廻なのか、一瞬の世界なのかと思うと失望と苦しみが感じられた。
 
 目の前を飛ぶハト、ゴミクズのような餌を目掛けて飛び回っている。ホームレスが与えるパンくずに群がっている数匹、そのうちの一匹がこちらの視界に入る。
 
 突如、ハトは地面に落ちた。なにかに衝撃を与えられ気絶したようだった。次の瞬間、自分の右手を強い衝撃が走った。吹き飛ばされそうになる体。かろうじて体制を保つが、次の瞬間肩に強い痛みと衝撃が再び走った。
 そして動けなくなった。
 

 出る
 攻撃される
 
 女
 クリストが現れ、消える
循環する

 


#ラスト

無限機関が存在できる宇宙と存在できない宇宙がパラレルに存在する。

現在の人類を無限機関の存在しない宇宙へと導くため、「存在」と対峙する。

最後に、人類はふるいにかけられ、昔のまま欲望を無限に追求できる世界と、そうでない普通の世界(危険にあふれる)のどちらに戻るかを選択する。

主人公とその愛する人(彼女)は、無限機関の存在できない世界で生きることを選択肢、世界の不条理と、お互いの割り切れなさ、傷つく弱さを持ち合う人間どうしとして生きて行く。

数年後、交通事故で二人は死ぬ。
子供は残されるが、希望を持って生きるのだ。

100年後。転生した主人公と彼女は、お互いを知ること無く未来の世界をすれ違い通り過ぎていく。