『サピエンス全史(上)』ユヴァル・ノア・ハラリ著
ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの決定的な違いは「虚構」を共有できる能力の差だったという仮説。
虚構:ムラ、国、宗教など
虚構なしには、ネアンデルタール人は150人ほどの集団を作ることが限界だったという研究データがある。
つまり、ホモ・サピエンスが場合によっては1000人以上の集団(ムラや国家、宗教共同体)を作れたのにも関わらず、ネアンデルタール人は真似したくてもできなかった。同じ能力を持つはずなのに。
「虚構」を司る脳の部位の違い、または虚構を生み出すための「言語」の発達の違いこそがそれらの種の絶滅と発展をもたらしたという可能性が書かれている。
これを読んで思うのは、統合失調症という「妄想を描いてしまう人たち」の存在である。彼ら彼女らは何もない空間から声を聞き、または神や超人などを見たりする。
つまり彼らこそが、ホモ・サピエンスと「虚構」の橋渡し役を担っていたのではないか?という個人的な仮説が生まれた。
現に人類はどの人種であれ、ほぼ人口の1%において統合失調症が発症するというデータもある。長い十万年を超える期間において、他のホモ属を絶滅に追いやり、地球全体に強固な共同体を築きあげることができたのは、統合失調症患者(と現代で解釈されている人達)のおかげなのではないか?
彼らの存在こそが我々を他のホモ属の侵略から守り、安全で動物にも食い殺される心配の無い文明を築いた。
しかし同時に、虚構である「思想」「信仰」「イデオロギー」などが、我々を滅ぼすのかもしれない。
20世紀の大量殺戮に至り、ホモ・サピエンスの「残虐性」とはなんなのかということが真剣に科学からも問われるようになってきている。